
家でよくお茶をいれます。
といっても、急須にお茶の葉をいれて飲むだけなんですが。
それでも『日日是好日』を読んだあとは少しだけ、いつもよりも、気持ちが変わるような。
そんなお話でした。
小説『日日是好日』
日日是好日は”おじぎがただものではないおばあさん”のところに、主人公がお茶を習いに行くところからはじまります。
物語がはじまるといより、人生がはじまる。
お茶の話を通じて、大きな人生の話でした。
読むたびに今の私に染み渡るような、ギクリとさせられるような文がたくさん。
もっと早く読みたかったなと思うほどいい本だったんですが、本って出会った時が1番ぴったりなタイミングですよね。
今、出会えたことに意味があるんだろうと思える染み入る1冊。
解説で「この本を本屋のお茶のコーナーに置くのは違う」と書いてありましたが、まさにその通りで。
エッセイや生活のところに置いて欲しい。
読む人がお茶を通して、それぞれ違うことを自分に置き換えて考えれるお話だと思う。
なんでこれやるの?
若い時って「なんでこれやるの?」「これやって意味あるの?」と思うことある。
意味を求めるというか。結果を求める。答えを知りたい。はやく。私は特にその傾向が強い。
でも、主人公はお茶を通して何年も何年もよく分からないまま続けて。それで何年も後になって気づくことがあると言っていた。
私も習い事をたくさんしてきて、そのときは意味がわからなくても何年も後に「そうだったんだ」と分かることがいくつかあったなぁ。
それが人生でもたくさんあるってことなんだろうなあ。
人生は伏線の回収だなあとよく思っているんですが。まさに、生きていると自分でも気づかない伏線が、続けることで回収されていくのかもしれません。
今年もたくさん回収したけど、まだまだたくさんあると思うと楽しみだな…
日日是好日って?

日日是好日という言葉には随分前に出会っていて。女城主『直虎』でもお寺の和尚さんが直虎に「日日是好日やなあ」と語りかけてました。
仏教用語らしいですが、意味は毎日が好い日。
毎日がいい日?だから?
と小説に出てくる主人公達は笑い飛ばすんですが笑
毎日がいい日って素敵なことだよなあと。そう思えるかは別だけど、後から振り返ったら毎日がいい日だったと。
直虎も「そう思える日が来るのかなあ」って嘆いてた気がする。
わたしも同じ気持ちだなあ。そう思える日が来るのかなあ〜〜
でも、今とても幸せだからそれはとても「日日是好日」なのかもしれません。
お茶とお菓子とお花と書
小説の中に実在する和菓子屋さんの和菓子がたくさん出てきます。甘いものが苦手でも食べたくなるほど。
そして、小さな部屋をまるで外にいるかのように感じさせるお花と書。
お花は高校のときに生花部で池坊をやってたけど、全然詳しくなくて。名前の知らないお花ばかりたくさん出てきた。全部みてみたくなった。
映画は友達達と観に行ったんだけど、友達が、なんと、実際に小説の中に出てきた「越乃雪」というお菓子を取り寄せてもってきてくれた。

すごい。
本当にほろりと口の中で雪のように溶けるお菓子でした。
高杉晋作もこの世を去る前に食べたそうです…思わず歴史に触れた瞬間だった。
持ってきてくれた人のおかげで、すっかりこの日は「日日是好日」な1日に。
映画『日日是好日』

映画は小説の季節感や、茶器や掛け軸などが出てきて実際に「お茶」といものを感じられてとても楽しかったです。
それよりも何よりも名前に季節感がある女優さんたちがとても素晴らしかったし
樹木希林さんの本当にその場で生きているような、武田先生の演技が、みていてなんどもウッときました。
ちょっと、お茶を習ってみたくもなった。